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南青山五丁目午前十時――真利子と麻美のふたり話し【6】

【第6回】(2012/12/11)

真:はあーっ、久しぶりね。あなたとここに来るの。
麻:そうね。あなたはダンナとちょくちょく来るんだろうけど、私はずいぶんご無沙汰ね。
真:ここ、いいよね。表通りに面してるのに、すごく落ち着く。
麻:料理も美味しいしね。スペイン料理って、必要以上に気どった店があるけど、ここは、南青山のお店なのに、全然気どらなくっていいわ。
真:でもさー、もう12月だよ。見てよ、外、あんなに寒そう。
麻:でも、私は、これくらい、思いっきり寒いほうが好きだわ。見てよ、道の光もきれいに見えるでしょ。
真:やめてよー。あー、これがクリエイターと主婦の差だ。また見せつけられた。
麻:(笑)。ほら、デザートのアイス溶けるわよ。
真:んー、不思議ね。いまあんなに寒いのやだって言ったのに、アイスは食べたい。冷たいのがいい!
麻:(笑)。主婦のかたって、本当にいろいろお悩みが多くてたいへんね。
真:どういたしまして。
麻:ねえ、私さ、もう一杯ワイン飲んでいい?
真:いいわよ。飲みなさいよ。ストレスたまってるの?
麻:いいえ。寒い風景を見てうれしくなったら、ちょっと酔いたくなってね。
真:粋ねえー、あなた。
麻:クリエイターですから。
真:はいはい。
麻:あなたは飲まないの?
真:私はいい。エスプレッソで。
麻:そうか。おもしろいわね。あなたのほうがお酒強いのに。
真:家ではよく飲むんだけどさ。なんか私さ、いいお店に来て、せっかくだからいいお酒いっぱい飲もう!って思うんだけどさ、なんかその場になると、急に落ち着いちゃうの。へんね。
麻:でもそれ、なんとなくわかる。私は逆。別にお酒なんて全然興味ないし、ふだんはまったく飲まないのに、外でふとした拍子にぱっと頼んじゃうの。
真:おもしろいね。無意識の「日常」の捉えかたが違うのかな。
麻:それは前から思ってたけど。でも分析するほどのもんじゃないしね。こういう些細な凹凸【おうとつ】みたいな噛み合わせが、いつまでも私たちが楽しくつるんでられる要因なんじゃないの。
真:そうね。この店も、ダンナと来るよりあなたと来たほうが楽しい。
麻:私も、一度仕事でお世話になってるかたと来たけど、あんまり楽しくはならなかった。
真:男性?
麻:まあね。でもどうにもなってないわよ。お食事会としては、ふつうに、なんというか、たんたんとね、まあまあいい感じではあったけど。そのときはお酒飲もうなんて思わなかった。
真:そうか。
麻:……。
真:ああ、このBGMいいなー。ちょっと昔のAOR。
麻:スペインの人がカヴァーしてるのかな?
真:どうなんだろうねー。でも何にしても、合ってる。いまのこの空気に。
麻:そうね。あとでちょっと歩こうか。遠回りになるけど、帰り。
真:いいよー。どっち側?
麻:根津美術館に沿って。
真:ああ、はいはい。いいよね、あの道、夜遅くは特に。
麻:いっつもあの道通るときはタクシーだからさ。今晩くらいは雰囲気出して。
真:相手は私だけどね(笑)。
麻:だからいいのよ。でもワインゆっくり飲みたいからちょっと待ってよ。
真:はいはい。なんか子どもみたいね、今晩のあなた。
麻:……。
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by womenscrossing | 2012-12-11 23:33 | [連載]南青山五丁目午前十時