2 women to cry


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南青山五丁目午前十時――真利子と麻美のふたり話し【10】

【第10回】(2014/02/27)

真:来たねー、春前夜!
麻:あなたがいちばん好きな季節ね。
真:そう。早春より早い春。
麻:早春になっちゃったらもう興ざめ、ってね(笑)。
真:うんうん、当然でしょ(笑)。
麻:あなたのその万事先どり精神、いつもこの時期にうらやましく思うわ。
真:なにそれー。皮肉?
麻:そんなわけないじゃない、本気で言ってるのよ。
真:そんなこと言ったらさ、あなたがいちばん好きな季節は新緑の候でしょ。いいよね。結局さ、落ち着いた都会の女の理想的なセンスよ、それ。
麻:皮肉言ってるのはあんたじゃない(笑)。
真:だってさー、それは誰が聞いたってそう言うよ。
麻:たまたまよ。
真:そこがさ、たんなる主婦と自立したクリエイターの違いだよね。ただ人の関心の先回りして喜んでる女と、みんなが浮かれたあとに来る新しい生命の兆しにそっと心を寄せる女との。
麻:いつもながら大げさね。
真:だってそうだもん!
麻:わかったわよ(笑)。まあいいじゃない、せっかく抜群な気候条件の「春前夜」を楽しんでるんだからさ。
真:はーい。でも今日は本当にいい気分。ちょっと肌寒くて、空は冴えてて、風も吹いてて。
麻:マフラーをとると首筋が冷やっとする、この感じね。
真:そうー。そしてマグに入った、ちょっとぬるくなったレモンティー。
麻:甘いやつ?
真:私はね、甘いのがいいの。あなたどうせ、ノンシュガーのハーブティーでございましょ(笑)?
麻:ご名答。特別な意味なんてありませんよ。もう皮肉はNG。
真:えっへっへ。もう気の利いた言葉が浮かばない。
麻:言うつもりだったの? あきれた人(笑)。
真:あ、見て、あのジョギングしている人、あんなに薄着。
麻:あー。もうあれくらいでもいけるんだね。
真:いやー、でも信じられないよ、まだそこまであったかくないよ。
麻:だからさ、スポーツする人はスポーツする人なりに、春を先どりするとああなるんだよ。身体条件の前提が違うだけでさ、気分は私たちと同じなのよ。
真:うわ!、いやーだ、やっぱインテリは考えることが違う。劣等感。
麻:やめてよもう(笑)。
真:そんなリベラルな想像力、私は持ちあわせてないもん! 私はしょせん甘いレモンティー飲んで満足してる女だもん!
麻:なにわけのわかんないキレかたしてるのよー。困った人ね。
真:いいよいいよ、そうやってばかにすればさ。
麻:もうだめだ、ついていけない(笑)。あんたの頭の中はさ、あのジョギングしているおじさんの100倍高速走行してるんだよ。それでいいじゃん、もう。
真:うん、わかった。それでいい。なんだか自信ついた。
麻:あ、それでいいんだ(笑)。あー、よかった。
真:わかったからさ、そっちのハーブティーひと口ちょうだいよ。口の中甘くなっちゃった。
麻:なによそれ……。
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by womenscrossing | 2014-02-27 00:06 | [連載]南青山五丁目午前十時