2 women to cry


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南青山五丁目午前十時――真利子と麻美のふたり話し【3】

【第3回】(2011/02/01)

真:ねえちょっと、このディスプレイ、すてきじゃない?
麻:どれどれ……。うん、たしかにね。まあ、かなりクオリティは高いわね。
真:やっぱり専門家はきびしいなー(笑)。
麻:そういう意味で言ってるんじゃないのよ。どう言ったらいいのかな。この街を歩いていたら、それなりにクオリティの高い、すてきなセンスの、最新のモードのものはいくらだって目に入るじゃない。でも、いや、「だから」というべきなのかな、もうなんだかそういうものに価値を見い出す意味がわからなくなってきたのよ。みんな、一歩でも早く、一歩でも先に、山の頂上に近づこうと切磋琢磨してるでしょ。それはそれで立派な競争なんだろうとは思うわ。でもね、やっぱり、それは結局、ある特定の山の中で一歩二歩を競い合ってるにすぎない。隣にまた別の山があることや、山の頂上のさらに上にはどんな世界があるのかなんてことは、そこで競い合ってる人たちにはきっと意識されてないんだろうなーって思うの。いったんそう気づいてしまうと、一見華々しいその世界が、急に色あせて見えてしまうのよ。
真:隣の山とか、頂上の上とかっていうのは、必死になって登っている人よりも、平地の地面に立って見ている人のほうがよく見えるのかもね。
麻:そういうことね。たとえば、東京スカイツリーがこの先何メートル伸びようと、どんな機能や装飾がつこうと、私にとってはどうでもいいのよ。スカイツリーの足元に、どんな道や水路があって、どんな生活があるのか、その質感のほうが気になるわ。
真:うふふ、もちろんわかるけどさ、でもやっぱりあなたのその趣向、「贅沢」なんじゃなあい?
麻:ふう、やられたわね。なんとでも言ってよ(笑)。▲
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by womenscrossing | 2012-01-28 23:49 | [連載]南青山五丁目午前十時