2 women to cry


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by womenscrossing
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南青山五丁目午前十時――真利子と麻美のふたり話し【2】

【第2回】(2011/01/30)

麻:あら、あんなところにあんなビル、あったかしら。
真:なに言ってるの、いまごろ。あなた、やっぱり仕事に生きる女ね。街の変化なんて、全然気がつかないんだから。
麻:興味のないものには気づかない、だけよ。
真:じゃああなた、この街のどこに興味があるの?
麻:難しいわね。私だって、昔からこの街に住み続けてきた住人ではないから、古き良き街の姿を懐かしむ、なんてことはできないわ。そうね、私に見えている街っていうのは、やっぱり私がこうあってほしい姿なのよ。新しくて軽薄な、余計なものはほしくない。でも私には理解できない古い風情の名残りも、いまいち存在の意味を感知できない。そういうことが反映されてるんじゃないかしら。
真:クリエイターらしいご意見ね。
麻:ありきたりな皮肉はやめてよ。むしろそういう面では、あなたのほうが感傷家さんでしょ。
真:たしかにそんな面はあったわ。いまでもあると思う。生まれた場所への執着とか憧憬ってやつね。でもねえ、この街については別。いったんこういう街のルールや流れに身体が慣れてしまうと、もう自然となんの感情もわかなくなるのよ。風景が変わった、それだけのこと。気づくけれど気づくだけ。そこに意味なんて見い出せないわ。
麻:そういう感覚って、ある意味贅沢なものかもしれないわ。逆にニュータウンに移り住んだ人なんか、最初はどうかしらないけど、年月が経つとなんでもない無機的な光景に愛着がわくことがあるんじゃないかしら。
真:うーん、贅沢、か。そんな贅沢も、やっぱりありがたいことなのかな。わからないわ(笑)。▲
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by womenscrossing | 2012-01-28 23:48 | [連載]南青山五丁目午前十時